昨年、彼女の亡くなったおばあちゃんの家に根付いていた芝桜を少し分けてもらい、自宅近くの私道に植えました。
おばあちゃんが亡くなってからというもの、庭は少しずつ荒れ始めていて、その芝桜も雑草に埋もれかけていたそうです。そんな中、彼女から「よかったら育ててあげてほしい」と言われて、譲ってもらうことになりました。
植えたのは、私道の擁壁近くと、用水路まで続く斜面の2か所。どちらも毎年草刈りが必要なほど雑草が多く、決して管理が楽な場所ではありません。土がむき出しで、以前にクラピアやクリーピングタイムを蒔いたものの、うまく根付かずに枯れてしまったこともあり、「果たして芝桜は大丈夫だろうか」と内心少し不安もありました。
それでも、おばあちゃんの大切にしていた花だし、なんとか根付いてくれたら——そんな思いで、周囲の雑草を丁寧に取り除きながら、少しずつ植え込んでいきました。環境が過酷なだけに、無事に冬を越せるかどうかが一番の心配でした。
そして春。まだ花が咲く前、葉の間から小さな芽や新しい茎が伸びているのを見つけたとき、「生きてる!」と本当に嬉しくなりました。それだけで、なんだか少し報われたような気がして。
そこからしばらくして、ピンク、赤紫、白と、色とりどりの花が咲き始めました。小さな株ながら、頑張って咲いてくれている姿を見ると、まるでおばあちゃんの想いが届いているようにも感じます。
彼女はまだ、この芝桜が咲いた姿を見ていません。近いうちに時間を作って、咲いているうちにぜひ見せてあげたいなと思っています。
ご近所には斜面一面に芝桜が広がっているような、見事なお宅もあります。そんな景色に少しでも近づけるように、これからも手をかけながら育てていきたいです。