『百鬼夜行 陽』「青行燈」「大首」「屏風のぞき」読了感想

京極夏彦の『百鬼夜行 陽』より、「青行燈」「大首」「屏風のぞき」の三篇を読了しました。デジタル文庫だとこの三篇で一巻なので、とても読みやすい文章量でした。

本作は百鬼夜行シリーズのサイドストーリー集であり、各短編はシリーズ本編の登場人物に焦点を当てています。シリーズを3年間で読み進めている自分にとっては馴染みのあるキャラクターばかりでしたが(それでも誰だっけこいつとなる)、リアルタイムで読んでいる人にとっては、スピンオフ元の発刊年があまりにも離れているため、登場人物の記憶をたどるのが大変ではないかと感じました。

 

「青行燈」

陰摩羅鬼の瑕から。

登場人物

平田 謙三(41歳)

由良 胤篤

 

感想

本編でも由良胤篤は結構セリフがあって印象的だったけど、平田はそもそもネームドキャラだったかどうかという存在感。胤篤は事件のせいで萎れたおじいさんになってしまった。平田は仕事人ぽくて、呪術廻戦の伊地知さんで脳内再生。そうすると胤篤は禪院直毘人か。後日譚の様相が強くて、妖怪感は薄め。登場人物も比較的まとも。中禅寺出てくるのは安心感ある。『陰摩羅鬼の瑕』は2003年発刊、『百鬼夜行 陽』は2022年発刊。約20年のブランクがあるため、リアルタイム勢は実際覚えていられるのだろか。読み返すのも気合い要るよ。

 

「大首」

これも陰摩羅鬼の瑕から。

登場人物

大鷹 篤志(32歳)

徳子(25歳)

奥貫 薫子

感想

邪魅の雫で大鷹が出てきた時、こんな変なやついたっけ?となったけど、このお話の中で壊れちゃったと合点がいく。陰摩羅鬼の瑕時点で、薫子と知り合いみたいな感じだった気がするけど、このお話ではそれも「ん???」となる。元から壊れかけてただけか。wikipediaで馬鹿扱いされてておもろい。

 

「屏風のぞき」

絡新婦の理から。

登場人物

多田 マキ

 

感想

糞婆を自覚するババア。本編中では木場としゃきしゃき喋っているイメージだったけど、このお話では内面を描かれている。まあでも多田マキが屏風のぞきに遭遇したことがあっても本編にはあまり関係ない。むしろ誰しもが妖怪体験を秘めているということかな。はじめに屏風のぞきが出た理由はいったいなぜだったのだろう。

 

まとめ

今のところ陰ほど陰鬱ではないのでサクサク読める。百鬼夜行シリーズの世界観広がると見せかけて終了している話のスピンオフだから広がらない。京極ワールドが広がる。